ari ari diary

多分、駄文

陰日向に咲く

芸人・劇団ひとりの処女作。
ハードカバーで最初に刊行されたときは、「お笑い芸人が小説?」とうがった眼差しでそれとなく様子を見ていたんだけど、恩田陸といった名の知れた小説家が称賛していたので「おやっ?」と思い気になり始めた。
そしたらあれよあれよと言う間に売れ続け、一時期は下降線を辿ったものの、映画化されたのを気にまた上昇に転じ、ついに今年始めに100万部突破したと書いてある。
今夏、ついに文庫化されたので、これを機に購入し読んでみた。

陰日向に咲く (幻冬舎文庫)

陰日向に咲く (幻冬舎文庫)

文章力は…文章を書くのが苦手な僕がこういうことを書くのもアレだけど、一般の人から見たら上手いほうだとは思うが、文筆業を専門としている方たちに比べたら多少劣っている感は否めない。でも、彼の作品の凄いところは、やはりその創造力かな。ちらほらと「どっかで読んだことあるな…」という書き方(技法)のところはあったけれども、小説を書くことは素人だとは思えない内容で楽しませてくれる。そういえば、彼のネタは一人でいろんな役をこなしていくというものが多いから、発想力や観察眼は凄いんだろうなぁ。
また、巻末の「解説」を書いたのが彼のお父さん。本の解説ではなく、劇団ひとりの簡単な生い立ちになっていた。
ちなみに内容は、一言で書くと、ちょっと不幸な人たちが、ちょっとした幸せを手に入れる物語。面白いけどシャイな、劇団ひとりらしい作品だと思います。